目指すのは「現代版スナックのママ」⁉ 共創って、どうやって生まれる?ーCatalo Lab Vol.08 開催レポート

イベントレポート

糸魚川ビジネス共創拠点Cataloでは、経営とまちづくりが交わる実践型オープンゼミ「Catalo Lab」を毎月開催しています。

Catalo Labは、ゲストの話を聞くだけの場ではありません。参加者同士が対話やワークを通じて学びを深め、地域内外で活躍する実践者の視点や経験に触れながら、新たな発見や気づきを持ち帰る時間です。

そして、学んで終わりではなく、「明日、自分に何ができるだろう?」と考え、小さくても具体的な一歩につなげていく。

そんな学びと実践の場として、毎月開催しています。

「共創ビジネス」とは? 地域の可能性を再発見する時間に

6月25日に開催したCatalo Lab Vol.08では、全国でソーシャルコワーキング事業を展開する株式会社ATOMicaの事業開発室長 兼 拠点経営部の白岩 歩さんをゲストにお迎えしました。

白岩さんは、コンサルティング会社にて12年間、組織開発や新規事業支援に携わった後、2023年に株式会社ATOMicaへ参画。
全国各地で展開する約60か所の「ソーシャルコワーキング拠点」のうち、半数以上の立ち上げを責任者として牽引されてきました。

まさに「場づくりと事業開発」の最前線で活躍されている白岩さん。
今回のテーマは「共創」や「新規事業」。

「共創って、そもそもどうやって生まれるんだろう?」

そんな問いを持ちながら、私自身も参加者の一人としてお話を聞きました。

当日は地域事業者や行政関係者、コミュニティ形成やまちづくりに関心のある方など、さまざまな立場の方が参加。
講演を聞くだけではなく、参加者同士でも意見を交わしながら、それぞれの経験や視点を持ち寄る時間となりました。

目指すのは「現代版スナックのママ」!?「場所」ではなく「人」

ATOMicaさんのミッションは「頼り頼られる関係性を増やす」こと。その原点にあるのが、「スナックのママ」のような存在だといいます。

スナックのママは、色んな人が集まるハブとなり、悩みを聞いたり、人を紹介したり、時には「やったらいいじゃない!」と背中を押してくれる存在。そこには、単なる場所の提供ではなく、人と人との信頼関係や新たなつながりが自然と生まれる仕組みがあります。

ATOMicaさんは、この温かいコミュニティの仕組みを、ビジネスの場であるコワーキングスペースで実現。
利用者の「Wish(悩みや相談)」を集め、それを解決できる人や機会へ「Knot(つなぐ)」ことで、新たな出会いや挑戦が生まれる。この循環が、地域の中に「頼り頼られる関係性」を育み、共創につながっていくという考え方です。

その中心を担うのが、地域に根ざしたコミュニティマネージャーの存在。
Cataloでも、単に場所を提供するだけではなく、日々の何気ない会話から利用者の想いや課題を知り、「その悩みなら、この人に相談してみたら?」「この人と話してみると新しい発見があるかも」と、人と人をつなぐ役割を目指しています。

現代版の「スナックのママ」のように、人が安心して相談できる存在がいるからこそ、新たなつながりや挑戦が生まれる。その考え方は、Cataloのコミュニティマネージャーとして活動する上でも、とても大切にしたい視点だと感じました。

新規事業は「ゼロから」ではなく「足し算・掛け算」で生まれる

新規事業についても多くの学びとなりました。
白岩さんは「新規事業だからといって、ゼロから新しいものを生み出さなくてもいい」と話されており。

完全な「0-1(ゼロイチ)」で事業をつくるのは難易度が高く、持続させるのも容易ではありません。それよりも重要なのは、「自分たちがすでに持っている強み」や「地域に眠る資源」を足し算や掛け算することだといいます。

「社内で少し面白い取り組みをしている人に話を聞いてみる」「自分とは全く違う分野の人と対話してみる」といった身近なリソースの掛け算からこそ、スピーディーで実践的なビジネスが生まれるのだと。

また、顧客自身もまだ言葉にできていない「潜在的な課題(ニーズ)」に目を向けることや、明確な仮説を立てた上で小さく検証(プロトタイピング)を繰り返す重要性についても、具体的な事例を交えながら分かりやすくお話しいただきました。

「何を売るか」でより、「どんな価値を届けるか」

新規事業や商品・サービスの付加価値を考える上で欠かせない考え方として、「ジョブ理論」が紹介されました。

ジョブ理論では、人が商品やサービスを選ぶ理由を「片付けたい用事(Job)」として捉えます。

そのニーズは大きく3つに分類されます。

  • 機能的ジョブ(便利だから使う)
  • 感情的ジョブ(使っていて楽しい・心地よい)
  • 社会的ジョブ(その商品やサービスを通して、どんな自分でありたいか)

例えば車であれば、「移動する」という機能だけであればどの車でも目的は果たせます。しかし、「ポルシェに乗る自分」に価値を感じる人がいるように、人は機能だけでなく、その先にある体験や自己表現にも価値を見出しています。

地域で事業を行う上でも、単に便利なサービスを提供するだけではなく、「この場所を利用することでどんな体験ができるのか」「応援することでどんな自分になれるのか」といったストーリーや体験価値を大切にすることが、多くの人の共感やファンづくりにつながるということを学びました。

人と人をつなぐことは、決して簡単ではない

質疑応答では、参加者から「共創の失敗」についても質問がありました。

人と人をつなぐことは、ただ紹介すればいいというものではないとのこと。相手を十分に理解しないままつなぐことで、相性や期待とのズレが生まれ、クレームにつながることもある。さらに、不満があっても何も言わずに離れてしまう「沈黙の不満客」は、改善することが難しいというお話もありました。

この話を聞きながら、Cataloでの自分の関わり方についても考えさせられました。

その人が何を求めているのか、どんなことに困っているのか、どんな人となら一歩踏み出せそうなのか。そこまで知った上でつなぐことが大切なのだと感じました。

だからこそ、日頃の何気ない会話や関わりを大切にし、利用目的だけではなく、その人自身を知り、「この人なら」と思ってもらえる信頼関係を少しずつ築き日々の出会いを大切にしていきたいと思いました。

「小さな困りごと」から、糸魚川でできることを考える

後半のグループワークでは、2グループに分かれ、まずは1人ひとりが今抱えている「困りごと」を付箋に書き出しました。

そこから、その困りごとに対して「糸魚川でできることは何だろう?」「自分だったら何ができるだろう?」と、参加者同士で解決方法を考えていきます。

普段は自分の中だけで抱えている困りごとも、誰かに話してみることで、思いがけないアイデアやヒントが出てくる。地域にすでにある人や場所、つながりを知ることで、「これならできるかも」と解決への糸口が見えてくる場面もありました。

今回のワークを通して、地域の課題は誰かに解決してもらうものではなく、自分たちができることから少しずつ動かしていけるものなのだと改めて感じました。

「困っていること」をきっかけに、人と人がつながり、そこから新しいアイデアや行動が生まれていく。まさにCatalo Labが大切にしている「学びを行動につなげる」時間になったのではないでしょうか。

Cataloも目指せ!「現代版スナックのママ」

今回のCatalo Labで、スタッフ猪又の心に一番残ったのは、「現代版スナックのママ」という言葉でした。

Cataloで日々利用者の皆さんとお話しする中には、何気ない会話から悩みや「やってみたいこと」が見えてくることがあります。そこから「それなら、あの人に聞いてみたら?」と、人とのつながりを提案できることも。

今回のお話を聞いて、人をつなぐためには、まずその人を知ることが大切なのだと改めて感じました。
Cataloを、ただ仕事をする場所ではなく、「ちょっと相談してみよう」「ここに来れば何かが始まるかも」と思ってもらえる場所にしていきたいと思います。

人と人をつなぎ、背中を押し、ときには一緒に悩みながら、その先で生まれる「何か」を見届ける。

目指すのは、糸魚川の「現代版スナックのママ」。

私自身も、日々の何気ない会話や出会いを大切にしながら、Cataloでそんな存在になれるよう、一つひとつのつながりを育てていきたいと思います。

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